「かぁこ」
ユキは野間と話をしながらも、カウンターの中に回り、私のいるキッチンまで一目散にやってきた。
ユキとはついさっき。
お昼前にマンションで別れたばかりだ。
「ユキさん、お疲れ様です」
「ただいま」
揚げ物をしている私の背後に立ったユキ。
後ろからそっと抱きついて、うなじにキスを落とした。
「もう、危ないですよ」
そう注意をすると、次はほっぺに唇がくっつく。
「ごめんね」
ユキのその顔は、悪いって思ってない。
「ユキさん、ご飯はさすがに要らないですよね?」
マンションで一緒にご飯を食べてから、そう時間も経っていないし。
「んー。余ってるものでアテがほしい」
「え?お酒飲むんですか?」
「一杯だけ。飲まなきゃやってられない」
くたびれ声を零すユキは、もうずっとシトウのことで忙しい。
「今日も帰り遅くなりそうですか?」
「ううん、今日は迎えに行く。一緒に帰ろう」
ユキの多忙さは、朝日が昇っても帰れない日があるほど。
けれど一緒に帰れるってことは、遅くとも深夜四時には帰ってくるってことだ。
……今日は、いい日。


