──私がユキの元に戻って、一ヵ月が経った。
AnBarの一階。
時刻は夕方。
私は一人、キッチンに立っていた。
そう。
私のいない間に改装されたAnBarには、キッチンが増設された。
「ママーごはん」
寝起きの千景が、匂いにつられてキッチンにやってくる。
「おはよ、千景。今日は早いね?」
千景は、私と一緒にシドのマンションを出てから、AnBarの二階に棲みついている。
……勝手に。
「今日パパに呼び出されちゃって」
千景の言う『パパ』はユキのこと。
いつの間にか、そう呼ぶようになった。
私に対する『ママ』に、ユキに対する『パパ』。
意味深に感じてしまうけれど、本人曰く『金づる』って意味らしい。


