余所者-よそもの-【 3 】



「言いたいことはわかるっす。んでも、紫藤さんから街に御触れは出ましたんで」

「御触れ?」

「『今日からなんかあったら瑞生に言え』って」

「それだけか」

「はい。なんで、あとは直々に挨拶回りしてもらえれば」

「挨拶回りっていうか。一から話し合いだろ、こんなの」

「まぁ、ワンチャン殴り合いも」

「………」


ユキは段ボールの上に書類を放った。


紫藤がいる。

ただそれだけで成立していた街。

その支配を、紙切れだけで引き継げるはずもない。


「やっとかぁこが帰ってきた」

「はい」

「引きこもりたい俺に、早々にこれを寄こしてくる」

「………」

「これは嫌がらせか?」


ユキは深く息を吐きながら、眉間を指で挟んだ。


「紫藤……殺す……」


紫藤から譲られた、シトウの全権限。

それは、ユキにとって。


無数の挑戦状のようなものだった。