「かぁこ」
ユキの手が、頬に触れる。
そのまま滑った手が、うなじに回る。
わずかに傾いたユキの顔が、ゆっくりと近づく。
細めた目に、長いまつ毛の影が落ちた。
ユキの髪が私のまつ毛に触れて、目を閉じた。
唇が、ふ、と軽く重なる。
冷気に晒され続けた唇は、ひんやりと冷たかった。
「……寒いね」
「寒いですね……」
ユキは私の脇に手を差し込むと、
「……うわっ!」
そのままぐん、と勢いよく抱き上げた。
「私、歩けますよ」
「知ってる」
私を抱いたまま、ユキは歩きだした。
ぎゅう、と腕の力を強める。
「温かい」
そう言って、冷たい顔を温めるように。
ユキは頬と頬をくっつけた。


