紫藤は空を仰いだ。
夜の底から、朝の光が滲み始めていた。
「瑞生」
「なんだ」
「お前、この街、預かれ」
薄明の中に、シトウの紫藤の声が響いた。
「──シトウの全権限を、お前に移譲する」
白い息が、はあ、と長く流れていく。
「………」
「……3年前は女。次は街か」
「テメェに拒否権はねぇ」
「お前はどうする」
紫藤はシトウの街のある方を向いた。
「俺はもう、疲れた」
「………」
「どっか静かな街にでも行って、人生やり直してみるよ」
紫藤はそう言って、瑞生とカナコに背中を向けた。
その拍子。
手に持ったコンビニの袋がガサ、と鳴った。


