多夜の言葉が、脳裏によぎる。 ──『もう、背負わせない』 ──『もう、立ち続けなくていい』 ──『ただの、紫藤 怜だ』 あの日。 俺は、コイツを自分のものにはしなかった。 自分で背負おうとも、しなかった。 「なんで……俺は、お前を。瑞生に預けちまったんだ……」 瑞生に世話を寄こさなければ。 コイツと瑞生が出会うこともきっとなかった。 金も、食いぶちも。 いくらでも用意してやれたはずだ。 それなのに。 なんで俺は、コイツを遠ざけた──……