余所者-よそもの-【 3 】




「……帰りてぇのか」


尋ねた紫藤に、カナコは口を開かなかった。


カナコは眉間に力をこめ、唇を軽く噛んだまま。

何も言葉にはしない。


その顔を見て。

ふと、あの日の姿が重なった。


泣いているようなのに、泣いてない。

喋りたそうなのに、喋れない。


まるで、この交差点で出会った日のようだ。


雪の上。

血だらけで、ボロボロ。


俺が『生きてるか』と、尋ねれば。

お前はふざけたことを言ってきた。


──『……ぁ、あなたは私を助けられますか?』


傷だらけのお前が、ひどくカエデとかぶった。

過去の罪から、『お前はやり直せるか?』と。

そう尋ねられた気がした。