「………」
……いやだ。
だってコイツは『まだ』俺の傍にいる。
俺が治るまで。
俺が、治りきらない限り……。
──『今、カナコは。お前を治そうとしてる』
──『お前くらいは、ちゃんと受け取ってやってほしい』
俺の、傍に……。
──『ねぇさんが始めた間違い。お前の手で、終わらせてやってくれ』
頭の中で煩いアオイの声に。
紫藤は、『手』を見た。
自分から伸びる、手。
カナコのために。
意地でも治そうと、力を取り戻したこの身体は。
今。
カナコの細い腕を、壊れそうなほど、強く握りしめていた。
「………」
紫藤は俯いた。
ゆっくり、ゆっくりと、掴む手の力を弱めて。
やがて。
カナコの腕を、そっと手放す。
──『僕は彼女が笑って生きられるのなら、その場所に送ることができる』
──『僕が好きなのは、あの人自身。僕の気持ちがどうなるかなんて、どうでもいい』


