余所者-よそもの-【 3 】




「………」

……いやだ。

だってコイツは『まだ』俺の傍にいる。


俺が治るまで。

俺が、治りきらない限り……。


──『今、カナコは。お前を治そうとしてる』

──『お前くらいは、ちゃんと受け取ってやってほしい』


俺の、傍に……。


──『ねぇさんが始めた間違い。お前の手で、終わらせてやってくれ』


頭の中で煩いアオイの声に。


紫藤は、『手』を見た。

自分から伸びる、手。


カナコのために。

意地でも治そうと、力を取り戻したこの身体は。


今。

カナコの細い腕を、壊れそうなほど、強く握りしめていた。



「………」

紫藤は俯いた。

ゆっくり、ゆっくりと、掴む手の力を弱めて。


やがて。

カナコの腕を、そっと手放す。


──『僕は彼女が笑って生きられるのなら、その場所に送ることができる』

──『僕が好きなのは、あの人自身。僕の気持ちがどうなるかなんて、どうでもいい』