「………」 「………」 紫藤は、カナコの腕を放さない。 カナコは、紫藤の腕を振り払わない。 瑞生は、ただこちらを見つめている。 カナコが呟く。 「『信じて』……待ってくれてる……」 誰に聞かせるでもない。 それはまるで、自分に言い聞かせているようだった。 やがて足の力がふっと消えると、ゆっくりと紫藤に向き直った。 「………」 何も言わない。 「カナコ」 紫藤はおそるおそる、彼女を呼んだ。