「………」 「………」 サク、サク。 サク、サク。 「なぁ、お前──……」 「………」 すると突然。 繋いでいた手が、振り払われた。 揃っていた足音も、消えた。 「………」 「どうした」 少し後方を振り返る。 「おい、カナコ」 カナコは遠い一点を見つめて、動かない。 瞳さえ、瞬きを忘れていた。 紫藤はその視線をゆっくりと辿った。 「………」 彼女が見ているのは。 始まりの交差点。 その、ド真ん中。 点滅する、赤色信号の下。 一人、佇む──男。