余所者-よそもの-【 3 】



「もしかしたら偶然かもって思ってた」

「………」

「おかげで私、すぐに自分の電話番号を覚えられた」

「自分の番号なんざ、覚えておく必要ねぇだろ」


カナコは静かに首を横に振る。


「自分の番号を覚えてたことで、助かったことがあったの」


過去、Z地区に迷い込んだとき。

助けを求めてかけた、自分の番号。


あの一本の電話が、千景との出会いにまで繋がった。


「私、やっぱり……シドにはたくさん助けてもらってる。数えきれないくらい、たくさん」

「………」


「だから。今日の誕生日プレゼント、とっても嬉しい」


紫藤は、繋いだ手にわずかに力を込めた。


「シド、ありがとう」


「………」

誕生日に自分を捨てた男も。

ひどく傷つけた俺のことも。

コイツは恨むことなく。


ただ、受け取ったものを大切そうに抱えて。

『ありがとう』と笑う。


なんてかわいそうで、健気だと思った。

けれど、それ以上に。


──なんて愛しくて、たまらない。


もう二度と傷つけたくない。

苦しませたくない。


今度こそ、今度こそ。


俺が、コイツを幸せにしてやりたい──