サク、サク、と音を立てながら、雪道を歩く。
「そういやお前……」
遠目に見えてきた、自分の家。
交差点の前にそびえ立つ建物をみて、ふと思い至る。
「お前を拾った日もクリスマスだった。っつーことは、あれ誕生日だったのか」
「うん」
紫藤はやっぱりかわいそうな女だと思った。
血を流し、裸同然の格好で交差点に放り出されていたカナコ。
コイツの昔の男は。
よりによって彼女の誕生日に手を上げ、あの場所に捨てたということだ。
思わず眉間に力がこもる。
「やっぱりわざとだったんだ」
「……なにがだ」
「シドが私に買ってくれたスマホの……電話番号」
「ああ」
「出会った日付を下四桁に設定してくれたんだね」
「選べるっつーから。クリスマスがわかりやすかった」
紫藤は出会って間もなく、何も持ってない彼女にスマホを与えた。
ショップで下四桁を選べと言われ、特に何も考えず。
『1225』──クリスマスの日付を選んだ。
それは紫藤がカナコを拾った日であり、カナコが男と別れた日であり。
クリスマスであり、彼女の誕生日だった。


