カナコは外へと視線を戻した。
遠くのネオンを眺める彼女の瞳に、光がちらちらと映っている。
「どうした」
「今日、クリスマスだから」
紫藤はだからなんだ、とわずかに首を傾げる。
「シドの家のクリスマスって、どんなのだった?」
「どんなのって、別に普通」
「チキン食べたり、プレゼントもらったり?」
「そうだな」
カナコは吐く息を白くして、笑った。
「んだよ」
「ちっちゃな頃のシドが想像つかなくて。プレゼントはツリーの下?」
「いや、枕元。起きたらあった」
「ふぅん」
まだ子供だったころの紫藤を楽しそうに想像するカナコ。
紫藤だって、子供のカナコが気になる。
「お前の家は?」
「うちは少し変わってたよ。宝探しゲームみたいな感じ」
「なんだそれ」
「『サンタさんは寒いところにプレゼントを置いていく』って言ってね。朝起きたら、よーいどん、で、パジャマのまま、ベランダとかガレージとか玄関とか。家の寒いところを探し回るの」
「面倒くせぇな」
紫藤が想像する子供のころのカナコは。
今、隣で無邪気に笑う彼女と、そう変わらない。
子供のまま大人になってしまったんじゃないかとさえ思った。


