余所者-よそもの-【 3 】




”ユキさん よく私の目の下 さわる”

「………」


今度は、自分の右手を見つめた。


泣けないカナコの、泣きそうな仕草を思い出す。

彼女は何かを我慢するように眉間に力を入れ、唇を緩く噛む。



”クセなのかな”

「お前を泣かせたくて」


親指で目尻をなぞってやれば。

お前はくすぐったそうに目を細めるだけ。



”顔が近くて”

「もっと近づきたい」



”どきどきする”

「お前に、触りたい……」



悲しいくらいに記憶は鮮明で。


カナコの仕草も。

声も、表情も。

肌の感触も、温もりも。


全部、綺麗に思い出せるのに。