野間の話に相槌を打つことさえやめた。
それでも野間は勝手に話し続けた。
どうやら、自分たちが何をしようとしているのかだけは伝えておきたいらしい。
義理みたいなものか。
「多夜さんとは話をしてます。紫藤さんを本当の意味で救うために、どうすればいいか」
「………」
「まぁ、多夜さんは話が下手なんで。ちゃんと伝えられているか不安ですが」
「………」
「気付くかなぁ、紫藤さん」
「………」
「カナコさんの中の、自分自身に」
「……は?」
『カナコ』の名前に、ユキが反応する。
野間はそれをわかっていたかのように、目を細めた。
「カナコさんは、紫藤さんの鏡みたいなものなんですよ」
「………」
「だから一度。カナコさんを通して、自身を見つめてもらいたい」
「………」
「シトウの紫藤じゃない。ただの、紫藤 怜を」
ユキの眉間に皺が寄る。
「あの人はずっと、人ばっか見て生きてきたから……いい加減、自分のために生きてほしいんですよね」


