「瑞生さんが素直に街の支配を取りに来ていれば。それはそれで紫藤さんの強制失脚エンド」
「………」
「その場合、僕のエゴは成立しなかった。……でもまぁ。紫藤さんという脅威もない今。瑞生さんは街の権力にも興味ないってことっすよね」
「ない」
ユキは、カナコがこの街で何事もなく暮らせるのなら、それでよかった。
紫藤が戻り、シトウを支配し続けようが構わない。
カナコに危害が及ばないのなら。
何かあれば、そのときは叩き潰すだけだ。
「すみませんねぇ。結果的に瑞生さんには僕のワガママに付き合わせてしまってる」
「付き合ってるつもりない」
「……おかげ様で、こちらは奇跡的な状況です」
野間は薄く笑う。
「紫藤さんが街に戻るか。紫藤さん自らが街になにかしらの報告をするか」
「………」
「紫藤さん自身の意志を、こうして待つことができている」
そんなこと。
ユキにとっては、心底どうでもいい。


