余所者-よそもの-【 3 】



ユキと野間は、近くの野間の店に入った。

寂れたBARだった。


野間はフラフラとカウンターに入る。


「なんか飲みます?」

「いらない。傷の手当てでもしてろ」

「うっす」


バックヤードから救急箱を取り、カウンター背面の棚に張られた鏡を使って手当てを始めた野間。

ユキはチェアに腰掛け、その背中に声をかけた。


「どうして、紫藤の状況を話さない」

「言ったところでじゃないですか?紫藤さんが街に出られないことには変わりがないんだし」


街が落ち着くことはなくても。

こうして、紫藤を慕う人間から執拗に狙われることはなくなる。


それでも野間は何も話さない。

どうしてそこまでして、街の恨みを一身に背負うのか。


ユキが知りたいのは、その理由。


「……これは僕のエゴです。紫藤さんは強い男だった。街のみんなに弱った紫藤さんを見せたくない。それだけっす」

「興味ないな」

「そっすよね。でも、僕がこうやって紫藤さんの威厳を守っていられるのは、瑞生さんのおかげでもあります」


ユキがちらりと視線を向ければ、鏡越しに野間と目が合った。