ユキは「はあ」と溜息をついてから。
喧嘩屋の後ろ首に鋭い蹴りを落とす。
ゴゥン……!!と、重たい音を路地に響かせた。
──ワりは禁止。
この街の暗黙のルールを破って。
ギャラリーが騒ぎだす。
「ワった?」
「ワった、ワった」
「誰」
「瑞生だ」
「また瑞生だ」
「瑞生の喧嘩見たい」
「瑞生見たい」
喧騒の中。
ユキは地面に転がった喧嘩屋を冷たい瞳で見下ろしていた。
「お前、しつこい」
「テメェに関係ねぇだろうが……ワってくんな」
喧嘩屋がこうして野間を詰めることは、初めてじゃない。
何度も何度も。
ユキはこうして助けに入っていた。


