余所者-よそもの-【 3 】



ユキは、トウジの運転する車で自宅へと帰った。

シャワーと、着替えをしに。


家の中はものの見事に散らかっている。

カナコと離れている時間だけ、少しずつ散らかっていった部屋。


今のユキの頭の中と同じ。

片付けられないものばかりが、どんどん積もっていく。


シャワーを終えたユキは、洗面台に立った。

歯ブラシを取ろうと手を伸ばせば、並んで置かれたカナコの歯ブラシとコップに目が留まる。


『ユキさん』

カナコの声が聞こえた気がした。


『また新しい歯ブラシ開けちゃったんですか?』

『もうっ。歯ブラシは使ったらここにしまってください』


ぷくっと膨らまされた、やわらかそうな頬。


怒ってるみたいなのに、全然怒れてない。

可愛いカナコ。


ユキの頭の中で、勝手に再生される。


ふと、目の前の鏡。

そこに映った自分の顔を見れば。


「………」

たった一人、寂しく笑う男がいた。


鏡から目を逸らし、支度を続けた。