余所者-よそもの-【 3 】



「………」


──数秒後。

千景は床に転がっていた。


ユキは殴った姿勢のまま、千景を見下ろした。


「ソッチの状況は?」

「……異常、ナシだ」

「そう」


ひっくり返ったまま答えた千景。

カナコの言う通り、本人は元気にしているらしい。


ユキが踵を返したところで、トウジが入口から入ってくる。


「あ。ユキさんお疲れ様です」

軽く挨拶を交わしたところで、トウジがフロア奥へと視線をやった。


「リンコ。出勤の時間だぞ」

「ああ。ホントね。すぐ行く」


トウジは隣町からシトウへ引っ越し、仕事まで辞めた。

今ではリンコの店の黒服兼、秘書兼、ドライバー。

何を目指しているのかはよくわからないが、とにかくリンコの傍にいる。


「ユキさん今日車ですか?よかったらマンションまで送りますが」


トウジの言葉に甘え、ユキはリンコと共にAnBarを出た。