そんなユキを見かねて、潤が口を開いた。
「もう、会って来いよ」
「なんで?」
「会いたいんだろ」
ユキの声は、沈んだまま。
「……会いたい」
「だったら、」
「でも、会ったらもう二度と送り出せる気がしない」
「………」
「いや。確実に無理だ」
一度会えば、もう二度と手放せない。
カナコのいない世界では、息の仕方もわからない。
それほどに、ユキは酷くやられてしまっていた。
「あんまりかぁこの名前を出さないで」
「っつっても、お前……」
「考えただけで気が狂いそうになる」
そこそこの重症具合。
「………」
「………」
どうしたものか。
潤とリンコは、揃って言葉を失った。
すると。
「仕方ないな。抱きしめてやろうか?」
いつからそこにいたのか。
ソファの背後から、ひょっこりと千景が顔を出した。
そして。
「ほら、吸えよ。ママの匂い」
千景は両腕を広げた。


