余所者-よそもの-【 3 】




「ユキ」



──ここはAnBar、一階フロア。


二人掛けのソファの上で、ユキが眠っていた。


「おい、起きろって」

「ああ……おはよう、潤ちゃん」


頭上にある潤の顔を、眠気眼で眺める。

ユキは身体を起こすと、ぼうっとフロアを見渡した。


手前には潤、後ろにリンコ。

カウンターにはサンコンがいた。


テーブルに置いてあったスマホを手に取り、時間を確認する。


今は開店前。

それでも、少し眠りすぎてしまった。


「お前。いい加減、家で寝ろよ……」


潤は呆れたように言った。


ユキは、カナコと離れてからというもの。

AnBarで眠ることが多くなった。


ここがちょうどよかった。

カナコが突然帰ってくるかもしれない。

帰ってくるならこの場所だ。


それに。

カナコと二人で眠った、あの家のベッド。


今更一人で眠るには、あまりに寂しすぎる。