「喧嘩売ってんのか。ぶっ飛ばすぞ」
「僕は、勘違いするなって話をしてるんだ」
「あ?」
「お前の中にある、どっかまともになったような感覚」
「………」
「それは、ドラッグへの依存を、あの人に置き換えただけ」
紫藤は眉をピクリと反応させた。
「さすがは地下の売人だな?わかったような口利きやがって」
「これでも僕は心から喜んでるんだ」
「………」
「お前にとっては、まだスタートライン。僕にとっては、もうスタートライン」
「何が言いてぇ」
「腹積もりしとけ。あの人には帰る場所がある」
「………」
「必ず送り届ける。僕は、そのためにここにいる」
ギ、と紫藤の黒く尖った視線が千景に刺さる。
「どこに連れて行く気だ」
「あの人が帰りたい場所」
「……瑞生のところか」
「うん」


