「ねぇさんの遺品を整理した」
そう言うなり、アオイは手にしていた写真を放った。
何枚もの写真が、バサバサと床へ散っていく。
「私の撮った写真。それは別で保管されてた……多分、ねぇさんのお気に入り」
紫藤は床に落ちた写真へ軽く目をやり、顔を上げた。
「だからなんだ」
「見ろ。目を逸らすな」
「………」
紫藤は眉間に皺を寄せた。
床に散った写真は、どれも違っていた。
場所も、着ている服も、隣にいる人間も。
ただ、一つだけ共通点があった。
「お前が笑ってる」
どの写真も。
──紫藤が、笑っていた。
酒を片手に、いたずらっ子のような笑み。
誰かと肩を並べて、無邪気な笑み。
カナコの隣で、愛おしむような笑み。
どれも。
シトウに立つ男とは思えないほど、無防備な笑顔だった。


