「瑞生は、カナコを守るために街ごと獲りにきた。シトウは、負けた」
紫藤の中にはいくつもの疑問が浮かぶ。
どうしてシトウが負けた?
瑞生は、どうやってそこまでの人間を動かした?
聞きたいことは山ほどある。
だが、それよりも。
「……じゃあなんで、カナコはここにいる」
抗争に負けた。
瑞生がシトウを凌駕した。
なのに、なぜ。
「多夜が街を犠牲にして、カナコをここへ連れてきたから」
「なんでだ」
紫藤の問いに。
アオイは静かに、答えを落とす。
「お前を壊したのが、シトウで、」
「………」
「お前を治せるのは、カナコ。多夜はそう思った」
紫藤は思わず項垂れた。
多夜が街を捨てたのも。
紫藤に街を捨てさせたいのも。
一貫して、自分のため。


