沈黙が流れる中。
静かに部屋に入ってきた──アオイ。
「多夜は、シトウよりも、紫藤。お前を生かすことを選んだ」
アオイは、多夜の足りない言葉を補うかのように話しだす。
「だから街を捨てた。お前のために」
「……あ?」
「お前が塞ぎこんでいる間。シトウで、大きな抗争があった」
その言葉に、紫藤が大きく反応した。
「抗争……?ドコとだ」
「シトウ以外の人間。ほぼ全部と」
「Z地区と露天街が手を組んだってことか?」
「それだけじゃない。隣町から族も介入していた」
「首謀者は」
「瑞生」
紫藤の動きが、ピタリと止まる。
瞳さえ動かない。
ただ、口元だけがその名をなぞった。
「瑞生……だと?」


