シトウは、狂った街だ。
多夜だけじゃない。
社会に馴染めず、行き場を失った人間たち。
それでも、居場所を求めた奴らが、最後に流れ着く街。
善悪。
道徳。
常識、非常識。
そんな社会のものさしに測られることに疲れた人間が、最後の最後に、生きることを許される場所。
紫藤の頭に。
シトウの人間の、いくつもの狂った顔がよぎる。
「………」
背負うな?
俺なしで、どうやって街の人間を生かす。
俺に下りろと言うことは。
街の人間を見殺しにしろと、そう言っているようなものだ。
「……できるか」
できるわけがねぇだろ。
「俺が一度弱っちまったせいか?」
「………」
多夜は、目を伏せた。
「すぐに治る。すぐにシトウに立つ」
「………」
「俺が。お前も、街の人間も。もう一度、全部背負い直してやる」
その言葉に。
多夜は困ったように、わずかに笑うだけだった。


