「俺以外に、誰があの腐りきった街を背負える」
「もう、背負わせない」
「シトウの人間が路頭に迷う」
「それでいい」
紫藤は言葉を飲み込んだ。
向き合う多夜の目が、いつになく人間臭い。
湿っぽくて、何かを必死に伝えている。
「お前、シトウの紫藤から、下りろ」
「……は?」
「もう、立ち続けなくていい」
「………」
「もう、俺を殺せなくたっていい」
「………」
「ただの、紫藤 怜だ」
コイツ、さっきから。
何を言ってるんだ?
「もう、楽になれ」
「………」
到底、紫藤には受け入れられない。
メニュー