「誰が街を見てる」 「気にするな」 「殴るぞ。答えろ」 脅しをつけると、多夜の静かな目が紫藤を向く。 「俺は、街を捨てた」 「あ?」 「お前も、捨てろ」 元々多夜は話が下手だった。 紫藤だって慣れていたはずだった。 それでも、理解ができない。 「捨てたってなんだ。捨てろってなんだ」 「………」 「おい、多夜」 「あの街は、もう要らない」 何を言っている? 「俺の街だ」 「違う」