紫藤が冷蔵庫の後ろを通り過ぎようとしたときだった。
──パタン。
カナコが冷蔵庫の戸を閉め、一歩後ろに下がった拍子。
紫藤の手に身体が当たり、持っていた皿が床に落ち、
──ガシャン、と割れた。
「ごめんっ!」
カナコがその声を上げるより早く、紫藤はその場に屈んだ。
目の前のカナコも慌ててしゃがみ込む。
「シドは座ってて」
「いい」
「私がやるから」
破片へ伸びるカナコの手を、紫藤は咄嗟に掴んだ。
「いい。俺がやる」
カナコが、ゆっくりと顔を上げた。
「………」
「………」
近い距離で、視線が重なる。


