余所者-よそもの-【 3 】



「………」

カナコは両手で口元を押さえ、パチパチと瞬きをしながら。

口をもぐもぐと動かし、飲み込んだ。


「美味しかった……」

「そうかよ」

「シド、料理できちゃうんだ」

「できるってほどでもねぇよ。焼き飯くらい誰でも作れんだろうが」

「だって、料理とかしそうじゃないもん。びっくりした」


カナコはやっぱり嬉しそう。

紫藤はその顔から視線を逸らし、焼き飯を口に入れた。


なぜだか、さっきよりも美味しく感じる。


「ねぇ、シドの好きな食べ物ってなに?」


カナコはダイニングテーブルの向かいに腰かけ、両手で頬杖をついた。


紫藤は思い出した。

まだ心を閉ざし、ろくに会話もできなかった頃。


カナコは、同じことを聞いてきた。


「なんだろうな」

「ないの?好きなもの」

「食うモンにはこだわりがねぇ」

「嫌いなものは?」

「ねぇな」

「そっか」


前も、今も。

好きな食べ物は浮かばなかった。


ただ、


──『シドの好きなものって、なんだろう』

──『元気になったら、教えてね』


好きなものなら。

目の前にあった。