「多夜」
「なんだ」
「お前、街に出ねぇのか」
「ああ」
「もう暴れ狂ってねぇのか」
「なくなった」
「嘘つけ」
「俺はお前が生きてさえいればそれでいい」
出会った頃から、多夜にしつこくこびりついていた破壊衝動。
湧きあがる度に紫藤は多夜を叩き潰し、衝動ごと殺した。
それが今は、すっかり消えたと言う。
嘘か誠か。
どちらにしても、上手くシャバで生きることのできなかったこの化け物は。
自分の腹の底から湧きあがる、生きたい衝動をそのまま託すかのように。
ただ静かに、紫藤の回復を不器用に手助けし続けた。


