その日から。
紫藤は暇さえあれば、自分の身体を無理にでも動かした。
誰かの補助がなければ何もできない自分が、格好悪くてみっともない。
特に──……
「大丈夫?シド、私の肩に捕まって」
「いらねぇ」
カナコの手だけは、徹底的に振り払った。
テメェのことは、テメェでやる。
カナコが手を貸そうとすればするほど、紫藤は意地でも自分でやった。
必要なものは、自分の足で取りに行く。
ベッドの上まで運ばれていた食事も、やがてダイニングでとるようになった。
煙草は自分で吸うし、薬だって決まった時間に自分で飲んだ。
そうして、少しずつ。
時間をかけて。
紫藤は、自分の身体と向き合い続けた。
身体が動くようになるにつれ、頭もよりはっきりしてきた。
カナコ以外の人間とも、会話をするようになった。


