余所者-よそもの-【 3 】



「どうっすか、紫藤さん。少しはまともになりましたか」

「少しずつだけど回復してきてるよ。身体はまだ十分には動かないけど、最近は普通に話したりする」

「もともと話せなかったんですか?」

「……知らないの?」


野間は「はい」と頷いた。


「僕、紫藤さんの中じゃ死んだことになってるんで」

「……え?」

「多夜さんから紫藤さんの壊れっぷりは聞いてはいましたけど。身体が動かないことと、自発的に何もしようとしないってくらいですかね」


だいたいは合ってる。


だけど、どうして。

「野間くんは、シドに会わないの?」


「今更、生き返る必要もないでしょ」

「そんなことない」

「いえ。僕は死んだままの方がいい」


あまりにはっきりとした物言い。


私はまだ納得ができない。

すると野間は、残った左目でどこか遠くを見つめた。


「紫藤さんにやられる直前。僕は、紫藤さんに一つの呪いをかけた」


呪い……?


「だから、僕はこのまま消えていた方がいい」

「………」

「それに」


野間の視線が、やっとこちらに戻ってくる。


「多夜さんと役割分担です。僕はシトウの後処理に忙しいんで」


そこでちょうど野間のスマホが鳴った。

電話に出た野間は、二言三言交わすと「すぐに行く」と通話を切った。


「すません。行かなきゃいけなくて」

「うん。ごめんね、急に」

「いえ、話せてよかったっす」