「今、シトウってどうなってるの?」
「瑞生さんや地下の売人からなんも聞いてないっすか?」
「少しだけなら聞いてる」
シトウは変わりがない。
抗争に勝ったとはいえ、シドも私もいない今。
ユキには、これ以上街に何かをする理由がないから。
千景から、そう聞いていた。
でも。
「シドはともかく、多夜さんもずっとコッチにいるし」
本当に何も変わってないのかな。
ずっとそう思ってた。
「ぶっちゃけ、シトウは今ちょい複雑っすね」
「複雑?」
「街の認識でも、シトウは抗争に負けた」
「うん」
「でも、だからって今日から瑞生さんに従います、とは当然ならない」
そこで野間は、運ばれてきたコーヒーを口に運んだ。
どうやら口の中も切れていたらしく、「いてて」と顔を歪める。
「紫藤さんは何の説明もなく消えたまま。多夜さんもいない。だから今、シトウの中が一番ぐっちゃぐちゃ」
「じゃあ……ユキさんたちは?シトウの人に狙われたりしてないの?」
「そっちは逆っすね」
……逆?
「手なんて出せないっすよ。瑞生さんにも、地下の売人にも。シトウにそんな余裕がない」
「………」
「だから行き場のないストレスが、全部中に向いてる」
野間は腫れた頬を指でつついた。
「これも、簡単に言うとソレ」
そっか。
本当にユキやみんなが無事ならよかった。
抗争のせいで、シトウから狙われ続けてるんじゃないかと、気になっていた。


