獏との通話を終えると、私はすぐにメッセージを送った。
ずっと、話したいと思っていた人。
相手もそう思ってくれていたのか、連絡を入れると二つ返事だった。
待ち合わせたのは、マンションからすぐの喫茶店。
シトウからは少し離れたこの場所まで、バイクで来てくれた──……
「乙っす」
「野間くん。ごめんね、急に」
四人掛けのテーブル席。
水を運んできた店員に「コーヒーで」と告げながら、野間が向かい側に腰を下ろす。
その顔を見て、驚いた。
「どうしたの、その顔……」
左頬に、誰かに殴られた痕がある。
「あーホントだ。腫れてきてる」
まるで気付いていなかったみたいに、野間は自分の頬に触れた。
「ついさっき街で喧嘩売られちゃって」
「街って……野間くんは、もう完全にシトウに戻ったの?」
野間は抗争のタイミングで、シトウの街に戻ってきたみたいだった。
『病み上がり』とも言っていたから、それまでは怪我の治療をしていたんだろう。
「まー、はい」
その曖昧な返事に、私は少し首を傾げた。


