眠れない。
何度寝返りを打っても、アオイの声は消えなかった。
私がいる限り、シドは自立しない。
なぜなら。
今のシドと、カエデが同じだから……か。
シドは。
私がいれば、ご飯を食べる。
私がいれば、言葉を話す。
私がいれば、笑う。
私がいれば、眠る。
……カエデも、シドがいないとできなかったんだ。
いつか野間から聞いた、カエデとシドの話。
──『カエデさんは、病み続けることでしか紫藤さんを繋ぎ止められなくなった』
──『罪悪感という鎖で、今も紫藤さんを縛り付けてる』
シドは、離れられなかった。
だって自分がいなきゃ、生きられない人がそばにいるから。
──『どうして離れないんですかね。こんなに不幸なのに』
あのとき、私は答えられなかった。
今も、どう言葉にすればいいのかわからない。
だけど、やっと繋ぐことができたシドの未来を。
生きる意志を。
今ここで手放すことなんて、とてもできない。
……シドがカエデと離れられなかったのも、同じ理由なのかな。
ねぇ、シド。
私はどうすればいいんだろう。


