「お前、気付いてるか?」
「……なにを?」
「目を合わせるのも、喋るのも。……食うのも、笑うのも、眠るのも」
「………」
「お前じゃないと、紫藤はまともにやらない」
「……え?」
それは、私だけが知らないことだった。
「お前、もう帰れ」
「……帰れって、」
「紫藤のそばにいないほうがいい。あの男のところに帰りたいんだろ」
「だけど」
「紫藤はもう助かった」
何を言ってるの?
今の状態で、シドが一人で生きられるとは思えない。
私がいないと何もしないなら、なおさら。
アオイの言ってることは、矛盾してる。
「シドが自立できるまではいるよ」
「無理だ」
思わず眉間に力がこもる。
アオイの声は、重く沈む。
「お前がいる限り。お前を繋ぎ止めるために、紫藤は自立しない」
「どういう──……」
「ねぇさんと、一緒だ」
「………」
「今の紫藤は、ねぇさんと。怖いくらい……一緒なんだ」


