シドがだんだんと戻ってきてる。
身体も、生きようとする意志も。
このまま、きっと。
シドは元気になる。
そう、確かな手ごたえを感じ始めていた。
──そんなある日の、深夜。
ふいに目が覚め、リビングに向かった。
電気が点いてる。
誰だろう。
「ママ」
「千景、どうしたの?寝ないの?」
ダイニングテーブル。
チェアの背もたれに肘を乗せ、千景が頬杖をついていた。
「アイツにいつ薬ぶち込もうか、迷ってる」
ダルそうな千景の、視線の先。
開けっ放しの隣の部屋。
ベッドの上のシドは、寝がえりをうちながら身じろぎをしている。
……また、ドラッグの離脱症状だ。
「どういうこと?薬、まだ飲ませてないの?」
「うん」
「獏さんから薬もらってるじゃない。気付いてるならあげてよ」
「嫌だよ。自分でくれって言うまで、やんない」
そんなこと言ったって、言葉も多くないシドには難しい。
千景だってわかってるくせに。


