テーブルに転がっていた煙草を手に取り、自分の口に咥えた。
唇に触れた煙草から、微かな苦味を感じる。
煙草を吸うのは初めてで、少し怖い。
眺める火に、ゆっくりと顔を近づけていく。
すると、口から伸びていた白い煙草がふいに消えた。
見れば、煙草はシドに取り上げられていた。
「吸うな」
シドは私を見つめたまま、取り上げた煙草を唇に挟んだ。
「………」
灯った火を、ゆっくりとシドの口元へ近づける。
シドがわずかに顔を伏せた。
揺れる火の向こうに、伏せられた瞳。
ジリジリと。
煙草の先端を、赤く光らせる。
やがて顔を上げたシドが、目を細めた。
ふう、と。
唇から吐き出された白煙が、私とシドの間をゆっくりと漂う。
「………」
その仕草が。
ひどく、懐かしかった。


