ジッ、ジッ。 ジッ、ジッ。 ホイールを擦る親指の腹が痛み出したころ。 ──ジュボッ…… 「ほ、ほら!できた!」 ようやくジッポライターから、小さなオレンジ色の火が立ち上った。 嬉しくて、思わずシドの顔を振り返ると。 「………」 ──シドが、笑っていた。 緩く上がった口端。 柔らかく下がった目尻。 私は一瞬、呆けた。 「……あ」 そうだ。 煙草に火をつけるんだ。