余所者-よそもの-【 3 】



とある日の、昼下がりのこと。

お昼寝から目を覚ましたシド。


ベッド脇にいた私が「おはよう」と声をかけると。


「………」

シドは一度私を見たあと、奥のテーブルに視線を移した。

そこには煙草と、金のジッポライター。


煙草が吸いたいんだ。


煙草は、いつも多夜が吸わせてあげていた。

多夜が一度自分で咥えて火をつけ、それをシドの口元に運ぶ。


だけど、今日は珍しく多夜がいない。

基本この家から出ないし、出てもコンビニ程度なのに。

もう三十分以上経っている。


「よし」

私は一本の煙草とジッポライターを手に持って、シドの隣に戻った。


いつもシドは片手で──キン、と軽快な音を響かせて火をつけていた。

見てる分には、とても簡単そうだった。

なのに。


「……ん?」

蓋を開けるだけで、まず手こずった。


片手に持っていた煙草をテーブルの上に転がして、両手で取り掛かる。

ようやく開いた、ジッポの蓋。