とある日の、昼下がりのこと。
お昼寝から目を覚ましたシド。
ベッド脇にいた私が「おはよう」と声をかけると。
「………」
シドは一度私を見たあと、奥のテーブルに視線を移した。
そこには煙草と、金のジッポライター。
煙草が吸いたいんだ。
煙草は、いつも多夜が吸わせてあげていた。
多夜が一度自分で咥えて火をつけ、それをシドの口元に運ぶ。
だけど、今日は珍しく多夜がいない。
基本この家から出ないし、出てもコンビニ程度なのに。
もう三十分以上経っている。
「よし」
私は一本の煙草とジッポライターを手に持って、シドの隣に戻った。
いつもシドは片手で──キン、と軽快な音を響かせて火をつけていた。
見てる分には、とても簡単そうだった。
なのに。
「……ん?」
蓋を開けるだけで、まず手こずった。
片手に持っていた煙草をテーブルの上に転がして、両手で取り掛かる。
ようやく開いた、ジッポの蓋。


