「できた」
夕食時。
私はキッチンに立っていた。
「アオイ。先にシドに持って行ってくれない?」
今日はハンバーグ。
シドが口に運びやすいように、一口ずつに切り分けて。
ご飯もサラダも一つのプレートにした。
アオイがシドに食事を運んでくれたので、その間に残りのプレートを並べていく。
アオイと多夜と、自分の分。
千景は今は外出してるから、帰ったらすぐに食べられるように、別でとっておこう。
すると、アオイが隣の部屋から戻ってきた。
その手には、さっき託したプレート。
ハンバーグもサラダも、綺麗にそのまま残っている。
「食わない」
アオイは不機嫌そうに言う。
「え、どうしてだろう……」
「知らない。箸も握らない」
「シド、何か言ってた?」
「……何も」


