シドが、喋った……。 私はあまりの驚きに、返事を忘れていた。 ……なんで私がここにいるか、か。 前よりも細くなった、シドの腕に触れる。 「シドに、生きててほしいから」 「………」 シドは何も言わなかった。 だけどその日から。 シドは少しずつ話すようになった。 「煙草」 「水」 「やめろ」 「寝る」 声を思いだすように、短い一言を、たまに。 会話とまではいかなくても、シドが自分から何かを伝えてくれるたび、アオイも多夜もとても喜んだ。