シドは数日、何も変わらなかった。
声をかけようが、触れようが、無反応。
その様子に多夜やアオイは何も言わなかったけれど、私にはわかった。
とても落胆していた。
私がいれば、シドはきっと反応を示す。
そう、藁にも縋る思いだったはず。
手探りの日々の中で、私はアオイと一緒にシドの介助をした。
水を飲ませたり、食事を食べさせたり。
シドが自分から何かを要求することはない。
外の世界にまるで興味がないようだった。
ただ、ぼんやりと目の前に差し出されたものを受け入れていく。
こんなに身体は生きようとしているのに、その意志がない。
……そんな風に見えた。
シドの身の回りのこと以外の時間は、食事をつくったり、買い物に出かけたり。
外に出ても、AnBarや、ユキのところには顔を出すことはしなかった。
『信じて』
そう伝えたから。
受け入れてくれたユキに、中途半端なことはしたくなかった。
その代わりに、私は毎日ユキにメッセージを入れた。
”今日も私は元気です”なんて、短くてとてもシンプルなメッセージ。
シドの様子や状況は伝えず、ユキも特に尋ねてこなかった。
返ってくるのは”夢は見てないか?”とか、”飯は食ってる?”とか。
私を心配する内容がほとんどだった。


