すぐさま反応した多夜が、素早く廊下へ向かう。
すると、ドンッ!と人が倒れる音と共に、奥から姿を現したのは──……
「……そう。毒はそれで間違いない。今食ってる薬は今から言う」
──スマホを耳に当てたまま、ぷらぷらと手首を振る千景。
後ろからはしかめっ面の多夜が、頬を押さえながら追いかけてきた。
千景はそんな多夜を気に留めず、スマホを耳から放すと「医者から出てる薬見せろ」とアオイに言いつけた。
アオイから受け取った一式の薬を、順番に読み上げていく。
通話の相手って、もしかして。
「……以上。超特効薬を一週間でつくって送ってきて。秒で治るやつな」
そう言うと、スマホを耳から遠くに離した。
電話口からは怒鳴り声が漏れ聞こえてくる。
うざったそうな顔をしている千景。
私は、ちらりと目線で許可を取ってから、千景のスマホを手に取った。
「獏さん。私です。カナコです」
獏は「おう」と、電話の相手が変わったと気がつくなり。
『ちょうどよかった。俺の代わりにチカを殴れ。グーだ。思いっきり力いっぱいいけ』
千景の無遠慮な注文に、怒っているらしい。


