「紫藤のこともあるけど、お前が来てくれて助かった。アイツと二人でいると息が詰まるんだ」
「……。アオイは、ずっとここで寝泊りしているの?」
「うん。多夜はあの通りバカだし気が利かない。紫藤の身の回りのことはほとんど私がやってる」
ずっと多夜と二人で……。
これまで大変だったろうな。
「私が眠る場所ってあるの?」
「……は?お前も付きっ切りになるつもりか?」
「うん。手伝うよ」
アオイは一瞬、ぱっと瞳を輝かせたものの、すぐに眉をひそめた。
「……でも、さっきの男とお前を閉じ込めないって約束した」
「私がそうしたいだけだから。外出は普通にするし、大丈夫」
アオイは信じられないものを見るような目で、顔を歪める。
「お前……根っからのバカなんだな」
「それはお互いさまだと思う」
アオイがシドの世話をするのはきっと、カエデのことがあるから。
シドを放っておけない。
アオイは多夜のことも私のことも『バカ』って言ったから。
ここにいる全員が、馬鹿者ってことだ。
ただ、シドに生きていてほしいだけの、馬鹿者。


