「シド」
私は、静かに呼びかけた。
だけどやっぱり反応がない。
返事もなければ、動きもしない。
こちらを見もしない。
「……ずっと、こうなの?」
隣に立つアオイに尋ねた。
「うん。ここ一ヵ月くらいこの調子」
……一ヵ月も。
一体、離れている間に何があったのか。
尋ねるまでもなく、アオイがひとりでに話しだす。
シドは、ドラッグの大量摂取が原因で病院に運ばれた。
入院をして、命の危機こそ脱したものの。
ドラッグの摂取を止めても、よくならない。
精神的なものと相まって、状態は複雑だという。
外の世界から自分を切り離してしまったかのように、ここ最近はほとんど寝たきりだそう。
状態が落ち着いてからも入院を続けていたけれど、多夜の希望で自宅看護に切り替えたのは最近のこと。
煙草を吸わせてやりたい。
アオイはそれしか理由を聞いてないと言ったけど、なんとなくわかる気がした。


