「シドを、放っておけない……」 ──カナコが欲しい。 だから街を獲った。 もう、連れて帰れると思っていた。 なのに、まだ連れて帰れない。 最後に目の前に立ちはだかったのは。 紫藤でも。 多夜でも。 シトウでもない。 カナコの、このどうしようもない優しさだった。 「俺以外の男のことなんて、考えるなよ」 俺のことだけ考えていればいいだろ。 俺にだけ優しさを見せろよ。 俺にだけ寄こせばいい。 お前が自分を愛せない分まで。 全部、丸ごと。 ──俺が愛してやるから。