余所者-よそもの-【 3 】




ユキがカナコに初めてぶつけた感情は、怒りだった。


──『なんでだろう』

──『俺、お前が自分を蔑ろにするのを見る度に、イラつくんだよね』

──『俺をここまでイラつかせるのはお前くらいだよ』


いつまで経っても、自分を優先してくれない。

お前が大切だと、傷ついてほしくないと。

何度伝えても、また自分より他人を選ぶ。


「どうして、放っておくことができない?」


簡単なことだろ。

人間には、できることに限界がある。


自分の手に負えないものまで、背負う必要なんてない。


事故だった。

運が悪かった。

そうやって、人は器用に生きていく。


「このまま……みんなのところに帰っても。私、いつか後悔すると思うから」

「どうでもいいって思えばいい」

「………」

「運が悪かった、そう思えばいいだろ」

「……できません」


自分を大切にすること。

自分を守ること。

自分を愛すること。


どうしてお前は。

たったそれだけのことが、できない。